10.3. DNAからRNA, タンパク質への情報の流れ
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生物の遺伝子型による表現型の決定
遺伝子型はDNAのヌクレオチド塩基の配列
表現型は、広範なタンパク質の作用により生じる
たとえば構造タンパク質は生物の体を構成し、酵素は代謝活性を触媒している
セントラルドグマ
フランシス・クリックが命名
DNA→転写→RNA→翻訳→タンパク質
転写 transcription
遺伝情報がDNAからRNAへと伝達される段階
翻訳 translation
遺伝情報がRNAからタンパク質へ伝達される段階
1909年に遺伝子とタンパク質との関連について最初に概念を提唱したのは、英国人の医師アーチバルド・ギャロッド Archibald Garrodであり、化学反応を触媒するタンパク質である酵素を通じて遺伝子が表現型を指定していることを示唆した
ギャロッドは、遺伝性疾患はある人が特定の酵素を合成することができないことを反映するものであるという仮説を提唱
一例としてアルカプトン尿症を取り上げた
アルカプトン尿症の患者の尿は、アルカプトンとよばれる化学物質を含むため、暗赤色に染まっている
ギャロッドは患者は正常な人がもつアルカプトンを分解する酵素を欠いていると考えた
数十年後に実施された研究により彼の仮説が正しかったことが証明されている
1940年代に米国の遺伝学者ジョージ・ビードル George Beadleとエドワード・テータム Edward Tatumがパンに生えるアカパンカビ Neurospora crassaを用いて行った研究
通常の生育培地上では生育できないアカパンカビの菌株を用いて研究を行った
それぞれの菌株にはアミノ酸の1つであるアルギニンを合成する代謝経路に関与する酵素が欠失していることを明らかにした
さらに、各々の変異株ではそれぞれ単一の遺伝子が欠失していることを明らかにした
ビードルとテータムは、個々の遺伝子の機能は特定の酵素の生産を指定するものであるという仮説を提唱した
ビードルとターテムの「1遺伝子1酵素」説は、その後の研究により修正されている
対象が酵素だけでなくすべての型のタンパク質に拡張されている
たとえばヒトの髪の毛の構成タンパク質であるα-ケラチンも遺伝子の産物
多くのタンパク質は2つ以上の別々のポリペプチドから構成されていることが発見され、このような場合は各々のポリペプチドが固有の遺伝子により指定されている
以上により、ビードルとテータムの仮説は現代では「遺伝子の機能は、特定のポリペプチドの生産を指定するものである」と記述されている
核酸からタンパク質へ : 概説
DNAとRNAは双方とも情報を伝達する特定の配列により単量体が鎖状につながった多量体であり、特定の配列により綴られるアルファベット文字によって情報を伝達する英語とよく似ている
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DNA鎖状に開始点と終結点をもつ特定機な塩基配列として構成される遺伝子が存在する
典型的な遺伝子は数千個の塩基によって構成されており、1本の長大な染色体DNAの分子に数千個の遺伝子が存在することもある
DNAの文章が転写されるとRNA分子が生成する
この過程が転写とよばれるのは、DNAの核酸言語が単にRNAの塩基配列に書き直されるだけであり、言語は依然として核酸により記述されているため
RNA分子のヌクレオチド塩基はDNA鎖のヌクレオチド塩基と相補的
翻訳とは核酸言語をポリペプチド言語に変換すること
核酸と同様にポリペプチドも多量体であるが、ポリペプチドのアルファベット文字である構成単位量はすべての生物に共通な20種類のアミノ酸
ポリペプチド言語も一連の配列として記述されている
RNA分子中のヌクレオチドの配列(DNA由来)はポリペプチド中のアミノ酸の配列を指定している
RNA情報をポリペプチドに翻訳する規則
4種類のヌクレオチドから20種類のアミノ酸を指定しなければならない
3塩基の単語(トリプレット triplet)がすべてのアミノ酸を指定することが可能な最小の塩基数
2塩基では$ 4^2 = 16通りで足りないが、3塩基の単語は$ 4^3 = 64通りで余りある
実際に、各々のアミノ酸を指定する2つ以上のトリプレットが存在している
たとえば、AAAとAAGは同一のアミノ酸(リジン Lys)を指定している
遺伝子からタンパク質への情報の流れがトリプレットをもとにしていることは、実験的にも確認されている
ポリペプチド中のアミノ酸配列を指定する遺伝的な指示は、DNAおよびRNAにコドン codonとよばれるトリプレットにより記述されている
遺伝情報の流れ
1個のDNAコドン(3ヌクレオチド)
1個のRNAコドン(3ヌクレオチド)
1個のアミノ酸
遺伝暗号
遺伝暗号 genetic code
塩基配列がコードするアミノ酸配列との関連性に関する規則
1960年代に解読された
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64通りの3つ組の安吾のうち61個がアミノ酸をコードしている
暗号AUGには2つの機能が存在
アミノ酸のメチオニン(Met)をコード
ポリペプチド鎖の開始シグナル
残る3つのコドンは終止コドンであり、アミノ酸を指定していない
リボソームにポリヌクレオチドの終結を指定する
遺伝暗号には冗長性(redundancy)があるが、曖昧さ(ambiguity)はないことがわかる
UUUコドンとUUCコドンは両方ともフェニルアラニン(Phe)を指定しているが、それ以外のアミノ酸を指定するようなことはしない
コドンを構成するヌクレオチドはDNAおよびRNAの連続配列であり、コドンを分断する空白は存在しない
ほぼすべての遺伝暗号は、最も単純な細菌から最も複雑な植物や動物を含むすべての生物に共通している
進化のごく初期に完成したものであることが示唆される
様々な生物が共通の遺伝暗号を用いていることから、DNAを移植することによりある生物種のタンパク質を別の生物が生産できるようにプログラムすることが可能
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転写 : DNAからRNAへ
DNAの鋳型からRNA分子が転写される過程は、DNA複製時にDNA鎖が合成される過程に類似している
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DNA複製と同様に、転写過程が開始される領域で最初に2本のDNA鎖が分離しなければならない
しかし転写過程では、DNA鎖の一方だけが新たなに形成されるRNA鎖の鋳型として用いられる
新たなRNA分子を構成するヌクレオチドは、DNAの鋳型鎖のヌクレオチド塩基との間に水素結合を形成することによって1個ずつ配置されていく
RNAのヌクレオチドは、T塩基の代わりにU塩基がA塩基と対合する」点を除いてDNA複製を支配する塩基対合則と同じ規則に従う
RNAのヌクレオチドは転写酵素であるRNAポリメラーゼ RNA polymeraseにより連結される
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❶転写開始
プロモーター promoter
転写開始シグナルとなる塩基配列
遺伝子の開始部位のDNA鎖上に位置している
プロモーターはRNAポリメラーゼがプロモーターに結合してRNA合成を開始する
2本のDNA鎖のうちどちらの鎖を転写するかはどの遺伝子についてもプロモーターにより指定さている
転写されるDNA鎖は遺伝子により変化するということ
❷RNA伸長
RNA合成の継続中に鋳型DNAからRNA鎖がはがれていき、すでに転写が終了した領域では分離していた2本のDNA鎖が再び対合する
❸転写終結
ターミネーター terminator
ターミネーター配列は遺伝子の終点を指定している
ターミネーターでは、ポリメラーゼ分子がRNA分子と遺伝子のDNA鎖から解離し、2本のDNA鎖が再び対合する
アミノ酸配列をコードするRNA分子の合成の他に、ポリペプチドの合成に関与する2種類のRNA分子も転写により合成される
これらのRNAは後述
真核生物のRNAプロセシング
原核生物
遺伝子から転写されたRNAが、そのまま翻訳される伝令分子であるメッセンジャーRNA(mRNA) messenger RNAとして機能する
真核生物
転写が核内で行われるだけでなく、RNA転写産物がプロセシング(修飾)されてから細胞質に移動してリボソームにより翻訳される
RNAプロセシング
キャップ capとテール tailの付加
RNA転写産物の末端に付加されるヌクレオチド
これによりRNAは細胞内の酵素による分解から保護されるとともに、リボソームがこのRNA分子をmRNAとして認識するのに役立っている
RNAスプライシング RNA splicing
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真核生物では実際にアミノ酸をコードしているヌクレオチド鎖がアミノ酸をコードしないヌクレオチド鎖により分断されているために必要とされる
イントロン intron
動物や植物の遺伝子の大部分にある非コード領域
エキソン exon
遺伝子の中でアミノ酸配列として発現される部分であるコード領域
RNAが核から離脱する前にイントロンが除去され、エキソンが連結されて連続したコード配列をもつmRNA分子が形成される
RNAスプライシングは、ヒトの約2万5000個の遺伝子から、それよりもはるかに多種類のポリペプチドの生産を可能にする重要な役割を担っていると考えられている
これは最終的なmRNAに含まれるエキソン領域が変化することにより達成される
翻訳 : 関与する分子
メッセンジャーRNA(mRNA)
第一の要素は転写により生じたmRNA
mRNAがそんざいするときmRNAの翻訳機構は酵素とATPなどの化学的エネルギー源を必要とする
さらに、翻訳過程で重要な役割を果たす成分としてトランスファーRNAとよばれるRNAの1種とリボソームがある
トランスファーRNA(tRNA)
トランスファーRNA(tRNA) transfer RNA
核酸の3文字単語(コドン)をタンパク質のアミノ酸という単語に変換するための通訳分子
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タンパク質を生産する細胞は細胞質にアミノ酸が供給されている
しかし、アミノ酸自身にはメッセンジャーRNAの塩基配列上のコドンを認識することはできない
この認識は細胞の通訳分子であるtRNA分子の役割であり、アミノ酸を適切なコドンと組み合わせることにより新たなポリペプチド鎖を生産する
この任務を遂行するためにtRNAは2つの異なる機能を実行しなければならない
適切なアミノ酸を拾い上げること
mRNA中の適切なコドンを認識すること
tRNA分子は1本鎖のRNAであり、約80ヌクレオチドの1本のポリヌクレオチド鎖である
このRNA鎖は自発的にねじれて折りたたまれ、RNA鎖の短いある領域が別の領域と塩基対合することにより、いくつかの2本鎖領域を形成している
折りたたまれたtRNA分子の一端はアンチコドン anticodonとよばれる特殊なトリプレット
アンチコドンのトリプレットはmRNAのコドンのトリプレットと相補的
翻訳過程でtRNAのアンチコドンは塩基対合則によりmRNA上の特定のコドンを認識する
tRNA分子のもう一方の端は特定のアミノ酸が結合する部位である
すべてのtRNA分子は類似した形をしているが、各々のアミノ酸に対応するためにわずかに異なる形のtRNAが存在している
リボソーム
リボソーム
mRNAとtRNAの機能を協調させて実際にポリペプチドを合成する細胞小器官
リボソームは2つのサブユニットにより構成されている
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それぞれのサブユニットは多数のタンパク質とかなりの長さのRNAにより構成され、このRNAはリボソームRNA(rRNA) ribosomal RNAと呼ばれる
組み立てが完了したリボソームの小サブユニットにはmRNAとの結合部位があり、大サブユニットにはtRNAとの結合部位がある
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PサイトとよばれるtRNA結合部位には伸長中のポリペプチド鎖と結合したtRNAが保持され、もう1方のAサイトとよばれるtRNA結合部位には次にポリペプチド鎖に付加する予定のアミノ酸を運ぶtRNAが保持されている
各々のtRNAのアンチコドンはmRNAのコドンと塩基対合している
リボソームのサブユニットは万力のようにtRNA分子とmRNA分子を近接して保持する働きをしている
リボソームはAサイトのtRNAが運ぶアミノ酸を伸長中のポリペプチドに連結する働きをもつ
翻訳 : 進行の過程
翻訳の開始
翻訳の第1段階では、mRNAと最初のアミノ酸が結合したtRNAとリボソームの2つのサブユニットが会合する
RNAスプライシング完了後のmRNA分子はアミノ酸配列をコードする遺伝情報領域よりも長い
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mRNA分子の両末端の塩基配列(ピンク色)は遺伝情報領域ではないが、真核生物ではこのキャップ領域とテール領域がmRNAのリボソームへの結合に役立っている
翻訳開始過程でmRNA上の翻訳が始まる位置が正確に決定されるので、mRNAコドンが正しいアミノ酸配列に翻訳されていく
翻訳開始は2段階で進行する
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❶mRNA分子がリボソームの少サブユニットに結合する
mRNA上の翻訳開始部位である開始コドン start codonに特殊なtRNAが結合する
この開始tRNAはアミノ酸のメチオニン(Met)を運搬し、そのアチコドンUACがmRNAの開始コドンAUGと対合する
❷リボソームの大サブユニットが小サブユニットに結合し、翻訳機能を有するリボソームが組み立てられる
開始tRNAはリボソームのPサイトに収納される
ポリペプチド鎖の伸長
翻訳開始過程が完了すると、最初のアミノ酸に1つずつアミノ酸が付加されていく
個々のアミノ酸の付加は3段階の伸張過程により進行する
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❶コドン認識 codon recognition
アミノ酸を運搬するtRNAのアンチコドンがリボソームのAサイトに位置するmRNAのコドンと対合する
❷ペプチド結合形成 peptide bond formation
伸長中のポリペプチドがPサイトのtRNAから遊離してAサイトのtRNAのアミノ酸に付着したところでリボソームの触媒によりペプチド結合が形成される
こうしてポリペプチド鎖にアミノ酸が1個付加される
❸転送 translocation
PサイトのtRNAがリボソームから遊離し、リボソームは伸長中のポリペプチド鎖を運搬するtRNAをPサイトに転送する
mRNAとtRNAもコドン1個分移動する
この移動によりAサイトにはmRNAの次に翻訳される予定のコドンがくる
こうしてペプチド鎖伸張過程が段階❶に戻る
翻訳の終結
ペプチド鎖の伸張過程は終止コドン stop codonがリボソームのAサイトに到達するまで継続する
UAA, UAG, UGAの終止コドンはアミノ酸をコードせず、翻訳を集結させる
アミノ酸が数百個連なる完成したポリペプチドがリボソームから遊離し、リボソームの2つのサブユニットも解離する
概説 : DNA→RNA→タンパク質
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転写と翻訳は遺伝子が細胞の構造と活性を制御するための過程であり、広い意味で、遺伝子型が表現型を作る方法
DNAの特定の塩基配列である遺伝子の情報が命令系統の発端
遺伝子はmRNAの相補的な塩基は入れいつへの転写を指示する
mRNAはポリペプチドのアミノ酸配列を指定する
ポリペプチドから形成されるタンパク質が細胞および生物個体の形態および機能を決定する
数十年の間、DNA→RNA→タンパク質という毛色が、遺伝情報が生物の形質を支配する唯一の方式であると信じられてきた
近年、RNAの複雑な役割を指摘する発見が相次いだことから、この概念が脅かされるようになっている
このようなRNAの特殊な性質については11章
突然変異
遺伝子がタンパク質へと翻訳される過程が発見されて以降、科学者は多くの遺伝的な相違を分子レベルで記述することができるようになった
たとえば、鎌状赤血球症はヘモグロビンタンパク質の中の1本のポリペプチド中の1アミノ酸の変化の影響であることが判明している
この変化はDNAのコード鎖の1塩基の変化が原因である
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突然変異(変異) mutation
DNAの塩基配列の変化
突然変異は染色体の大きな領域が変化するものから、1塩基の変化まで含まれる
時として塩基の置換の結果、生物個体とその子孫が成功するチャンスを増やすことがある
しかし、ほとんどの場合、突然変異は有害
突然変異の型
遺伝子の突然変異には、塩基の置換、欠失、挿入の結果起こるものがある
塩基の置換
点突然変異 point mutation
1個の塩基が別のものに置き換わること
サイレント変異 silent mutation
遺伝暗号の冗長性のため、置換変異がアミノ酸配列に影響を及ぼさないことがある
たとえばmRNAコドンが突然変異によりGAAからGAGに変化した場合、どちらも同じアミノ酸(Glu)をコードしているため、生成されるタンパク質に変化がない
ミスセンス変異 missense mutation
1塩基置換によりコードされるアミノ酸が変化する場合
たとえばmRNAのコドンがGGCからAGCに変化した場合、生成されるタンパク質の変異部分にグリシン(Gly)の代わりにセリン(Ser)が入る
ミスセンス変異の中には生成するタンパク質の形態および機能にほとんど影響を及ぼさないものもある
一方では、アミノ酸の変化がタンパク質の正常な機能を妨げることもある
ナンセンス変異 nonsense mutation
アミノ酸のコドンが終止コドンに変化する
たとえばAGA(Arg)コドンが突然変異によりUGA(stop)コドンに変化した結果、中途半端に終結したタンパク質が生成することになり、こういったタンパク質が適切に機能することはほとんどない
遺伝子中の1個またはそれ以上のヌクレオチドの欠失 or 挿入
通常は破滅的な影響を及ぼす
mRNAは翻訳のときには一連のトリプレットとして読まれるため、塩基が付加または欠失すると遺伝情報のトリプレットの組分けが変化する
フレームシフト変異 frameshift mutation
挿入または欠失の「下流」のすべての塩基の読み枠がずれて別のコドンになる
1例として、Lys-Phe-Gly-AlaをコードするAAG-UUU-GGC-GCAのmRNA分子
2番目のコドンに含まれるU塩基が1個欠失するとAAG-UUG-GCG-CAという配列が生成し、Lys-Leu-Alaをコードすることになる
変更されたポリペプチドはタンパク質としてほとんど機能しない
1塩基または2塩基の挿入も、同様に深刻な影響を及ぼす
突然変異誘発物質
自発的突然変異
DNA複製またはDNA組換え中の誤りによる突然変異
原因不明の突然変異も自発的突然変異
突然変異誘発物質(変異原) mutagen
物理的要因および化学物質
最もよく知られた物理的な変異原はX線や紫外線(UV)のような高エネルギーの電磁波
化学的な変異原には様々なタイプがある
その一つは正常なDNA塩基に類似しているが、DNAに取り込まれると不正確な塩基対を引き起こす化学物質から構成されるもの
突然変異誘発物質の多くは発癌物質
予防措置は絶対確実なものではなく、変異原への接触を完全に防ぐことはできない
突然変異は有害なことが多いが、自然界や実験室にとってはきわめて有益なものでもある
自然選択による進化をもたらす多様性を生み出している
突然変異は遺伝学者にとって不可欠の研究手法
→10.4. ウイルスなどの細胞を持たない感染性物質